企業のYouTube運用でAIを使うなら、文字起こしや構成の下書きのような下ごしらえに使い、撮影と何を残すかの判断と数字の読み方は人がやる形が向いています。AIに動画を自動で量産させる話ではありません。
当社は福岡のYouTube運用代行として、企画・撮影・編集・サムネイルとタイトル・公開後の振り返りまでを受けています。この記事はその運用のどこにAIを入れ、どこを人が見ているかの分担を書いたものです。
例は、この1週間の作業から取りました。私は素材を渡しただけで、指示文を作って通したのも、数字を開いて数え直したのも、手元のAIの秘書です。
結論: AIに任せるのは下ごしらえまで
YouTube運用の工程は企画、撮影、編集、サムネイルとタイトル、公開後の振り返りの5つに分けられます。AIが速くしてくれるのは、このうち文字と文章になっている部分です。映像を撮る所と、何を残して何を伝えるかを決める所は、AIに渡しません。企画と撮影で決まる中身は、あとからAIに足してもらえないからです。
当社がAIで作った映像をそのまま納品しないのは、それではその会社の言葉にならないからです。
手順: 工程ごとのAI活用の分担
工程ごとに、AIと人の受け持ちを分けると次のようになります。
- 企画: 人。誰に何を伝えたいかを伺い、題材と公開の順番を決めます
- 撮影: 人。台本は用意せず、働く方の言葉を引き出します
- 編集: 文字起こしと字幕の下書きはAI。切る所と残す所の最終判断は人で、お客さまにも1回ご確認いただきます
- サムネイルとタイトル: 案出しはAI。選ぶのは人です
- 振り返り: 数字の読み方は人。AIには数える作業だけを渡します
流れは、撮る、文字にする、AIに下書きを作らせる、人が読んで直す、の順です。文字起こしと字幕の下書きまでは、AIが速く作ります。そのあとの読んで直す工程を省くと、その会社が言いたいことと違う動画が公開されます。
例: 動画の編集の指示文を2回通したら
私が話している59秒のiPhone縦撮りの動画を渡し、動画の編集でどこが速くなり、どこに人の目が要るのかを、手元のAIの秘書に試させました。取引先の映像は使っていません。
秘書はカット候補、テロップの直し、タイトル案の3つの指示文を作り、2つの入力に2回ずつ通しました。入力は、編集ソフトの文字起こしの代わりに別の道具で起こした句読点なしの文で、文字だけの版と、秘書が時刻と話者名を付けた版です。1回目は4種類ずれました。
- カット候補に時刻を添えさせたら、1件は開始の時刻の代わりに終了の時刻を書きました。直しは、時刻は書かせないことです
- 話の中身の例の文を「切ってよい」にしました。直しは、例・理由・結論は候補にしないと指示文に書き、切ったあと前後をつなげた1行も書かせることです
- クロードコードをClaude Codeに直す行が、同じ中身のまま3行に分かれて並びました。直しは1行にまとめて数を添えさせることです
- 動画の中でしていない「比べてみた」が、タイトル案に入りました。直しは、していないことをしたように書かない、の1行を指示文に足すことです
直した指示文で通した2回目は、2つの入力のどちらでも、最初の4種類のずれが出ませんでした。照らし合わせると、カット候補の「切る部分」とテロップの直しの「元の文字」は、どちらの欄も代わりの文字起こしと1文字も違いませんでした。ただ、冒頭のあいさつの文を「切ってよい」にした回は、2回目にも出ています。
3回目に入れたのは、編集ソフトで書き出した本物の文字起こしのTXTです。カット候補とタイトル案には問題が出ず、別のずれが2つ、テロップの直しのほうに出ました。聞き取れない道具の名前に違う名前を当てて「必ず直すもの」に入れたことと、「元の文字」の欄を1か所写し間違えたことです。指示文に、書いたあと文字起こしに同じ文字があるか見直す、名前は当てずに分からないと書く、の2行を足すと、そのあとの2回とも違う名前は出ず、元の文字も文字起こしと一致しました。1分の動画1本での結果なので、ほかの動画で同じになるとは限りません。
AIに任せるのは、候補と直しの下書きを出すところまでです。切るかどうかは、人が読んで決めます。
注意点: 数字の読み方は人がやる
分析と振り返りでも同じことが起きました。担当しているチャンネルの1つで、AIを使った分析の下書きが、「検索される語が題名に入っているから表示が増えた」と理由をつけました。ところが、私がYouTube Studioの画面を秘書に渡して元の数字を読ませると、長尺の表示の大半は関連動画とブラウジングからで、検索から来た表示はわずかです。
同じ回には、分析ツールが題名に付けた点数と、実際のクリック率のずれも見つかりました。それで、題名を決める材料からその点数は外しています。
数える作業は任せられます。同じチャンネルの長尺の題名・概要欄・タグ・チャプターの数を、秘書が別のAIに数えさせ、元のデータで数え直したら一致しました。ただしそのAIの報告では、題名の案の呼び名(案Aと案B)が逆でした。
また、YouTubeのヘルプ「クリック率のデータを使用する際に避けるべきこと」には、「同じ動画で複数のサムネイルやタイトルをテストする」が挙がっています。これに当たるのが、手で題名やサムネイルを差し替え、その前後でクリック率を比べるやり方です。AIが「差し替えて比べよう」と案を出しても、人がそこで止めます。AIの分析は理由の部分がもっともらしく書かれるので、数字を開いて合っているかを見る手間は人の受け持ちです。
最初の一手: 手元の動画1本でタイトル案を出させる
手元の動画1本の文字起こしをAIに貼り、「動画の中でしていないことを、したように書かない」の1行を入れた指示文で、タイトル案を5つ出させます。出てきた5案を、動画を見た人の目で読みます。動画の中で実際に話した内容と合う案だけを残し、1つ選ぶのは、その動画を撮った人の仕事です。
運用ごと任せる場合は、月額の運用代行の内容を見てください。
今日は手元の動画1本を選んで、文字起こしを出すところから始めます。